Re-projectの最近のブログ記事

 2008年も師走に突入し、あっという間の1年が終わろうとしています。前回の記事の最後で触れた"変化"について書きたいと思います。

 まず結論から述べると、2009年度からは日球革命プロジェクトとしての活動レベルを"仕事"から"趣味"に引き下げる事になります。そうなったのは、来年から新たな仕事として某キャンピングカーメーカーに就職する事が決まったからです。

 新年の冒頭に掲げた"Re-project"というテーマに沿って、新型ジョイントシステムの開発をはじめ、3.6mドームや6.0mドームをハンドメイドで自作したり、『住』をテーマに据えた活動を展開するという発想の元、富士宮にある『えいちの村』に常設型日球ドームを開発しようという試みなど、今年はこれまでになく、色々な角度から自身が取り組んできた活動を見つめ直してきました。

 そして、最終的に立ち返ったのが、『日球革命プロジェクト』は「家は動かないもの・不動産であるという居住理念を改革し、動的なプロダクト・移動する居住空間という次代の生活のカタチを作り出す」というヴィジョンを掲げた試みであり、それはつまり、移動生活を可能にするテクノロジーを追求していく事に他なりません。

 その構想の第1弾として、日球ドームを生み出しましたが、これはあくまでも移動型の居住空間に過ぎず、更に発展させて考えるならば、日球ドームを一つの居住空間として利用した上で、独立したライフライン(巨大インフラに対する依存性が低ければ低いほどベター)を備える移動型居住システム(言うまでもなく、移動手段もシステムの中に組み込まれているのが必然的)として展開していきたいと考えています。

 つまり、『日球ドーム』+『独立したライフライン』+『移動手段』の組み合わせが、最小単位となるイメージです。

 プロジェクトの経緯を振り返ってみれば、1998年の学生時代の旅にプロジェクトの着想を得てから約5年を経る中で、移動可能な居住空間として日球ドームをカタチにし、2003年からは比較的需要の高い野外イベントにドームリースや出店などを行い、実践を通じた実用性の追求を行ってきました。

 新たな10年を迎えるにあたり、次なる目標を設定するとしたら、残された『独立したライフライン』と『移動手段』をいかに構築していくべきか・・・?

 その問いに答えるべく帰結したのが、キャンピングカーという存在です。野外イベントに出入りする機会を多く得たこの数年間、会場でしばしば目にする事があった

キャンピングカーこそ、まさに『独立したライフライン』と『移動手段』を一体化した技術の結晶

であり、その目標を達成する上で最も現実的な選択肢だと考えるようになりました。

 実際にキャンピングカーを作る為には、幅広い専門的な知識と技術が必要不可欠で、全くの素人である私自身が思い立ってすぐ出来る代物ではなく、これまでの活動を継続しながら片手間で習得できる事ではないと思います。そして、すでに国内外に優秀なビルダーが存在しているので、まずは経験豊かな先人の下について一から学ぶ事からはじめるというのが、最も近道だと思います。

 その方向に進路変更するという事は、大学卒業後、ドーム一筋で前に突き進んできた私自身にとって、大きな決断を要する事柄であり、今後も日球ドームを必要としてくれる多くの方々に対しても多少なりとも影響を与える事になる為、正直な所、ものすごく悩みました。

 しかし、たとえ遠回りになるとしても、知識や技術をしっかり身につけて、夢を現実化していく事にこそ大きな価値があると判断し、就職を決意しました。

 それに伴い、ナナヒトとして今までのように活動を継続する事は難しくなる為、横浜・六角橋にある拠点『ATELIER71(アトリエナナヒト)』は閉店致します。また、日球ドームのリースについては次のような考えに基づいたシステムの変更を検討しております。

 これまで、自分自身が経験を積むといった側面から、常に自分が先頭に立って、ドームの設営・撤去を行ってきました。その体験を通じて、多くを学ぶ事が出来たのは言うまでもありませんが、より多くの人に日球ドームを知っていただくには、いつまでも自分が先頭に立つのではなく、人の手に委ねて旅をさせる事が、その価値を深く伝えていく事につながるのだと思います。

 今後は本業を別に持つ事になるので、その活動から利益を得る必要性もなくなる為、より利用しやすくなるので、自分以外にも設営・撤去ができる人間をもっと増やしていくようにしたいと考えています。

 その具体的な方法についてはまだ未定ですが、決定次第サイト上にて告知しますので、しばらくお待ち下さい。

080429-0501 えいちの村

 

 忍野デッド2008の帰り道、会場となった"ふもとっぱら"からも近い『えいちの村(3月下旬に新型ドーム・テスト設営会を行った)』に立ち寄り、直径4.8mの日球ドームを常設展示してきました。

 ドームを常設する試みは、2004年に約3ヶ月間、中伊豆の山奥で行って以来となりますが、今回はその時のようにその場に滞在しながら検証を行うわけではないので、何かあった時にも安心なように、ドームの強度を高める必要性から、構造体に右写真のような木製の構造補強材を取付けてみました。

 この木製の構造補強材を作る過程で感じた事ですが・・・

 日球ドームの現状のジョイントシステムは移動型ドームテントとして、素早い移設を可能とする為の仕組みで、もし仮に常設型ドームテントとして活用する場合、ボルト・ナットによる固定など、設営・撤去に時間がかかったとしても、もっと簡素なシステムにする事で、

より安価で高強度な構造体

を提供出来るようになれば、常設に対応したドームテントの新たな活路が見出せるはずです。

 しかし、実際に常設で利用するとなると、まだ遭遇していないような問題なども出てくることも考えられます。まずは今回、えいちの村で常設展示する試みに着手した事が、次のステップへ向かう試金石なのだと確信しています。

080329 新型ドーム・テスト設営会

 

 2008年3月29日、新型ドームのテスト設営会を、プロトタイプドームが眠る富士宮のえいちの村にて行いました。

 当日は好天に恵まれ、富士山に見守られながら、スタッフや数組の見学希望者も参加し、和やかなムードの中、いつもと違うパーツの具合を確かめるように設営を開始しました。

 今までのジョイント同様、竹構造材を差し込んで、ジョイントのフックに引っ掛けるという仕組みは、若干入れにくい部分もあったものの、ほとんど問題なく機能して、見る見るうちに組みあがっていきました。

 ジョイントの強度が増したことによって、予想したとおり、ピンによる補強は不要となりました。これにより設営の手間が省略されたのは一つの成果です。

 天幕・防水シートも寸法に大きなズレはなく、ひとまず成功と言える結果となったのは小さいようでとても大きな一歩です。

 翌日の廃校フェスにて、既存の4.8mドームの竹構造材を新型ジョイントに対応させたカタチで設営する試みも無事成功している為、今後のドームリースや出店の際は、この新型ジョイントをフル稼働させていきたいと思います。

 また今回のテスト設営会を通じて、新たな課題を頂きました。それは、

常設型の日球ドームを作れないか?

 というものです。基礎が必要ないテントという仮設建築物である事を活かした居住空間としての展開は、日球革命プロジェクトの構想の心臓部として予てから模索し続けている案件で、2004年の日球ドーム生活体験@中伊豆でその試験的なアクションを行って以降、中々手をつけられずにいた事です。

 今年に入り"Re-project"と銘打って様々な面から活動を見直す中で、イベント用テントという枠を超え、『住』をテーマに置いて活動を展開していく事こそ、本懐であると深く感じています。

 そして具体的な進展として、将来的に今回の会場となった『えいちの村』を舞台に、その常設型日球ドームの研究開発を行う事になりました。一朝一夕では立ち行かない事ですが、一つの大きな目標を得て、心新たに前に進んでいきたいと思います。

DSC02824.JPG

 

 新型ドーム・テスト設営会 

 昨年秋の天幕・防水シート製作に始まり、11月の竹の切り出し、今年に入ってからの国産化への新展開、そして竹構造材&新型ジョイントの製作・・・。

 まるで筋書きがあるかのようなドラマティックな展開の中、情熱を傾けて製作した新型ドーム。その真価を問うべく、テスト設営会を行います。

 

■日時:3月29日(土) 10:00~18:00

  10:00~12:00 設営

  12:00~16:00 展示

  16:00~18:00 撤去

 

■場所:えいちの村(静岡県富士宮市)

 

■見学可能です。参加希望の方は、こちらよりご連絡下さい。

 

 

080301 新型ジョイント加工・塗装

 

 前回記事で試作した新型ジョイントをドーム1台分製作しました。

 作業に取り掛かる前に、課題であった耐水性と強度の確保についてどうするべきか色々と検討を開始。まずは塗料でその要件を満たす事ができないかという事で調べてみました。

 純粋に耐水性と強度だけを確保するとしたら、ボートやサーフボードなどで使われるエポキシ系の塗料が最適ですが、人体に有害な揮発性有機溶剤などはできるだけ使用しない方法でと思い、さらに調査を継続した結果、鶴見にある㈱飾一さんの超越技術に着目しました。

 この超越技術は、天然素材のに、無機質のガラス質をコーティングし、紙や木の性質はそのままにガラスの持つ特性(耐熱性・耐水性・耐油性・耐摩耗性・表面硬度・抗菌性・その他様々な機能)を付与するというもので、今回使用した超越ウッドコートは、木材表面を塗膜を形成する一般の塗料と異なり、塗膜ではなく木材と科学的に反応させるコーティング剤です。ケイ素を主体にした無機化合物を原料にしているため、ホルムアルデヒド等の有害化学物質を含まず安心・安全に使う事ができます。また摩擦などがない環境であれば3~5年の耐用年数があるという事で、コストパフォーマンスにも優れています。

080304 超越ウッドコート耐水テスト

 この塗料の効果を検証する為、耐水性テストを行ってみました。

 右の画像にある2種類の木材は左が未塗装、右が2度塗りしたものです。クリックすると水滴を落とした直後、30分後、1時間後の様子を写した画像が見れます。その結果はハッキリと現れました。

 表面硬度も上がり、ある程度の強度を付加することもできたので、この状態でも構造体を組む事は不可能ではないと思われます。しかし、開口部を作る際に竹構造材を抜く事によって、その周辺のジョイントに掛かる荷重が大きくなる事や、嵐のような強風時に吹く風の力など不測の事態を考えるとまだまだ不安が残ります。

 そこで何か他の方法で強度を確保する事が不可欠と判断し、再びその素材選びをしていると、あるオークションサイトで厚み4mm・直径140mmの円形アルミ板を発見しました。

 アルミは軽くて腐食に対しても強く、また加工もしやすい為、強度確保には最適です。早速コンタクトしてみると、在庫も大量にあるとのことで、早速購入し、加工を施してみると・・・

080306 新型ジョイント完成&旧モデルとの比較

 

 この為に作られたかのようなピッタリサイズ

に驚いてしまいましたが、グッと完成度がましてきました。ちょうど、ボルト・ナットの間に入れる巨大なワッシャーのような役割をしています。

 もちろん強度は抜群。以前のジョイントと比べても十分に強そうです。荷重が加わっても簡単には曲がらないので、これまで設営時に必要だった補強ピン作業も不要となり、作業時間の短縮化も予想されます。

 あえてデメリットをあげるなら、ボリュームがあるので、収納ケースが1つ増えてしまうという事がありますが、強度と設営時間を短縮できるメリットを考えれば、機能上の進化は果たせたと感じています。

 色々試しながらでしたが、ようやく新型ジョイント完成です。

080308 新型ジョイント台座

 

 最後に、接地部のジョイント台座も丸いアルミ板を使って新たに作りました。また1月に油抜きしていた竹も長さ・幅をそろえ、ジョイント接合部の加工・ヤスリがけ・超越ウッドコート塗装を行い、1台分の構造体が製作完了しました。

 昨年10月に製作した6mドーム用の天幕・防水シートと今回製作した構造体を組み合わせて、新たに6mドームが1台分増えることになりますが、この新型がきちんと設営できるかどうかを確かめなくてはなりません。

 ということで、野外イベントシーズンの到来を目の前に、テスト設営会を計画しております。詳細は近日発表します!

080221 新型ジョイント試作

 

 日球ドームの国産化にあたり、その核となる新型ジョイントを試作しました。

 現行モデルのジョイントはステンレスを金型プレスにかけて押し出したもので、その利点は挿入しやすく、一度差し込んだら抜けにくく、外す時は中心の蝶ナットを緩めるというシステムでした。このシステムに対する評価はありがたい事に非常に高かったのですが、その一方で、曲がりやすく、強度を保つ為にピンで挟み補強するという作業が必須で、補強ピン作業がなくなれば、より素早い設営が可能となるはずです。

 新型ジョイントでは、このジョイントシステムを継承した上で、さらに心地よい内部空間を作る為、よりナチュラルな素材を使いたいと考えております。最終的な素材を何にするかという事は先の事として、まずそのジョイントシステムが自作可能かどうかという事を確認しなくてはなりません。

 という考えの下、早速加工しやすいランバーコアで試作してみました。

 以下の動画をご覧下さい。

 この試作においては、普通にホームセンターなどで揃える事ができる素材をチョイスしています。つまり特注品などはないので、誰でも安価に材料を揃える事ができます。DIY向きというのも良いコンセプトですね。

 ちなみに、

 ・木材:シナランバーコア14mm

 ・フックに使用している金物:ステンレスT字隅金

 ・ステンレスのボルト、丸ワッシャー、蝶ナット

を使用しています。

 何度かの試作を繰り返し、できるだけコンパクトで、機能を継承したジョイントができました。とりあえず、このジョイントシステムでも十分に構造体として活用できそうなので、とりあえず1台分作ってしまおうと思っています。

 次の課題としてはこの部位は雨水に晒されたり、荷重が集まる為、しっかりとした防水性や強度を確保する事が非常に重要だと考えております。何かいい素材・技術など取り入れて実現していきたいです。

dome-japan.GIF

 今年の目標として掲げたRe-project、まだまだ暗中模索しています。

 実は2007年の夏頃に、以前の勤め先であり、現在の日球ドームのOEM先でもある(株)ミロクからの打診で、生産方式を受注生産ではなくロット生産にしてほしいという意向の通達がありました。正直なところ、資金的にも在庫を保管する場所的にも、何ともし難い状況で、今のところ日球ドームの販売を保留する形になっています。(リースは可能ですが・・・)

 こんな出来事もあった上で、今後どのようにするべきかを熟考していますが、(株)ミロクでのOEM生産は、上海にある(株)ミロクの子会社を通じて現地の業者に注文しており、日球ドームを上海で生産するメリット・デメリットを洗い出してみました。

 ☆メリット:国内業者に頼んで生産するよりも格段に安い。

 ★デメリット:仕様変更や細かい指示等などの情報伝達に手間がかかること。(現地の業者に伝わるまでに2クッションあり、日本語⇔中国語のネックもある。)つまり小回りが利かない。

 また(株)ミロク自体がドームハウス事業から撤退するなど、ドームハウスに対するモチベーションが低下している事も手伝って、円滑な取引が出来ない状況も発生しつつあります。これまで本当にお世話になってきた事もあり、出来るだけ(株)ミロクを通じた生産体制を維持する為の交渉を行っておりますが、スムースにいっていないのが現状です。

 このような生産体制の変更を余儀なくされる事態をはじめ、最近やたらと目立つ中国産のモノに対する不信感の高まりや自身の活動をもう一度根本から見定める“時機”が一緒に訪れているのは、非常に興味深いです。

 【移動する居住空間】というコンセプトを掲げた当初から並大抵のことではないと予想していたものの、運良くドームハウスメーカーに就職し、その環境下で構想の第1弾としての現行モデルの日球ドームを開発できた事は、山登りに例えるならば、ヘリコプターでいきなり山頂を目指して降り立った状態だと思います。個人で動いている今、ヘリコプターはありません。

 自分の足で登る。= 自らの手で国産オリジナルドームを製作する。

 この考えは、自分に残された数少ない選択肢の一つなのかもしれませんが、その実現可能性について考察すると、昨年11月の武蔵大学での学園祭にて設営した6mドームは、構造体部分は既存の日球ドームのものを使用しているものの、天幕・防水シート部分は自作しています。また、前回の記事で書いたように、6mドームの構造材を現在製作している為、足りないパーツはジョイントとなります。

 現行モデルのジョイントは日球ドームの核とも言える機能を備えており、その機能性を保ったまま、新たなジョイントを作るというハードルはかなり高いですが、決して不可能な事とは感じません。

 また今年の目標であるRe-projectのテーマに照らしても、挑戦する価値は十分あるので、今後じっくり取り組んでいくべき課題と受け止めて活動していきたいと思います。

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